株式会社の起源はコルプス・ミスティクムである。人類史に埋め込まれた「死ぬことのない身体」という観念が、現代コーポレート・ガバナンス論の前提である「株式会社は株主のもの」という宿痾の社会常識を打ち破る。 コルプス・ミスティクムとは何か。中世キリスト教に起源を持つこの観念は、教会・国家・株式会社といった「死ぬことのない」永続性を持つ団体の成立論理である。株式会社が「株主のもの」というのは一つのイデオロギーにすぎない。「団体」としての株式会社は、「擬制的身体」と「擬制的人格」を持って自立的に運動する社会制度体であり、「誰のものでもない」存在である。